こんにちは、えすみんです。
久しく遠ざかっていましたが、一万円選書で選ばれた本の感想を。
なかなか読む時間がなくて、感想を書く間隔も開いてしまいました。
今回で4冊目です。
一万円選書についてはこちら↓
一万円選書は、少し前にテレビでも取り上げられたので、だいぶ広まってきたのかなと思ってます。
今回の本は、原田マハ著『生きるぼくら』
ざっくりいうと、引きこもりの主人公が1枚の年賀はがきで、蓼科へ行き、人生を再生する話でしょうか。
あまりにざっくりすぎますけれども(笑)
原田マハさんの作品は「楽園のカンヴァス」「本日はお日柄もよく」を読んだことがありますが、この「生きるぼくら」、すごく好きです。
正直、引きこもりの主人公には、全然気持ちは入らないのですが、取り巻く周りの人たちはとても味があって、昭和の匂いを感じるような、世話好きという言葉とはちょっと違うんですけど、そういうのが良いですね。
舞台が都会ではなくて、蓼科という自然があるところっていうのも。自然の多いところでは、なんとなく人は心が緩むような気がします。そういう心理もうまく使っているんでしょうかね。
途中、都会の一流企業に入って、人生の勝ち組になるんだという青年が出てきますが、読んでるこちらも主人公同様イラッとするんですけど、そこもまたまだ東京神話みたいな、東京に憧れる心理をうまく捕らえてるように思います。今でこそ、都会に住んでいますが、自分もまた地方出身であることに気付かされました。勝ち組負け組という言葉は大嫌いですけど。
個人的には、年賀はがきの本当の差出人がわかった瞬間が最高です。涙が止まりませんでした。きっと発売当初に読んでいたら、こんな気持ちにはならなかったと思います。やっぱり自分が子育てをしていて、いろいろな悩みを抱えているからこそ、今だからこそ、グサッと自分に刺さるんですよね。
やはり親は先に死にます、順番でいったら。その時に子どもに何をしてやれるんだろうかとか、それまでに子どもに何を残してあげられるのか、子どもに何を伝えられるのか。そういうことを常日頃から思っているんですけど、改めて、考えさせられる作品でした。
一万円選書で選ばれた理由も、この辺りなのかもしれません。岩田さんの選書、おそるべし(笑)
良かったら、お手にとってみてください。